新企画!対談『60分』第1回 光和電気株式会社〜前編〜

中小企業の経済とこれからのリアル 対談『60分』
津田製作所のブログの新企画
対談『60分』
がスタート!
弊社 代表取締役 津田義明が、
経営者や今話題の方々と「60分間」の限られた時間の中、
赤裸々にお話いただいた内容をお届けするシリーズです。
その対談の様子、第一回目は、
前・後編でお送りします!
光和電気株式会社 代表取締役 細土秀夫(ほそどひでお)さんとの対談です。

津田:「本日はよろしくお願いします。
電気屋さんって聞くと、
大手以外だと、いわゆる町の電気屋さんのイメージがありますよね。
家族だったり、数人でご商売されていて、
困った時に声をかけたら自宅まで修理しにきてくれたり。
私は御社はそういった電気屋さんではなく、
分電屋さんだと思ってたんですけど。分電盤を作る会社。」
細土:「基本はそうですね。高圧までやってるから、キューピクルまで作ってますけど。」
津田:「でも、電気工事も出張で行かれてるみたいなお話だったので。」
細土:「工事ってもね、キューピクルがあって分電盤があるでしょ、
その間の配線をするのは電気工事なんです。
そこは全くしない、ノウハウもないから。
要するに電気工事との区分はキューピクルの部品取り替え。
万が一事故が起きたときに元請けの立場がなくなるから、
部品を取り替える人間は、一種の免許を持ってますよ、
会社も電気工事の資格を持ってますよってのが必要。
ちゃんとしてても、なおかつ事故になりましたよという、
言い逃れができる。
そのためにうちが選ばれた。
今の時代ですね。」
津田: 「いや、それは必要なことですよね。
じゃあ、今後もそれをメインで続けていかれると。」
細土:「民間から役所まであって、金額が合う合わんはあるけど、
広島市内はね、適切な時に部品取り替えしていないキューピクル分電盤だらけなんですよ。 ほとんどね。
だからある意味では、すごい宝の山といえば宝の山なんですよ。
ただしエンドユーザーさんが部品を途中で取り替えないといけないことを
誰も伝えてないでしょ。これが営業が難しい。
1000万円かかるからお金を貯めとってくださいね、とか、
本当は先に言っとかなきゃいけない。」
津田:「高度成長期の中でそういったのを考えずにみんな経営されとるんですかね。
今回の広島の水道工事みたいな感じですかね。」
細土:「そうそう。
部品が耐久年数すぎて、たまたま運よく動いているだけ、だらけなんですよ。本当は。
保安協会みたいなところが、
点検の時にパンフレットとかなんかで、部品取り替えの必要性を訴えてもらったら1番いい。
うちがいきなりチラシ持って行っても、なんか怪しいでしょ。」
津田「あー。訪問販売か何かだと思われたり。」
細土:「そう。
インターホン押したところで最近は誰も出てくれない。怖いから。
やっぱり流れで自然に営業をするのが一番強い。」
津田:「なるほど。
情報が流通するというか、世の中に浸透していった方が。」
細土:「そう。確実でしょ。
例えば今メンテナンスしてるところが、
今後こういうふうなことがあると思うんでって話をしたら、
ユーザーさんも真剣に受け取ってくれる。
そういうところと提携するのが一番強いなと思う。」

生き残りをかけて選んだ道
津田:「うちもそうですけど、一つの業界でも、幅広いんですよね。
製造業、鉄工所で一括りでも、うちの試作開発してる部品と、
精密機器の部品を作るのや鉄骨を作るのは違う。
今後そういった我々中小企業が、どうやって生き残っていったらいいのか。
規模を大きくするのがいいのか。
人手不足で採用が難しいとかあるじゃないですか、
それも考えて今同様、またはある程度のところで止めておくのがいいのか。
それとも、その時代に合わせて規模を増減させるのがいいのか。」
細土:「会社の規模はね、私はもうそろそろ次にバトンタッチしないといけん年なんで、
今から第2第3で攻めていくわけにもいかない。
会社の大きさというのは、次になった社長がビジョンを持ってほしいですね。
そこでどういう方向に伸ばすのか、 それが明確であればどんどんやればいい。
人手が必要となればもっとかき集めて50人、100人、200人にしていってもいいですよね。
バブルがはじけた時は、売り上げが半分以下になって、さすがにちょっとしんどかった。
リストラしたり、みんなの収入をちょっと抑えて我慢してもらったりしたけど、
1年2年したらみんな不平が出てくる。それは当たり前だと思う。
自然に辞めていった人の分は補充せんかった。
事務員さんはその頃から全部パートさんにやってもらってます。
その代わり、1人だったのを多めに雇用して。
するとね、時間が余るんで、廊下の掃除してくれたり、どんどんやってくれるようになって。
時給は広島では高い方で、1,300円。
要望があったんでそうしたけど、喜んでますます一生懸命働いてくれる。
戦略としては、口になるのかお尻になるのか。私の方は口の方を選んだんです。
バブルが弾けた時は、みんなコストダウンコストダウンが流行ってた時期だったでしょ。
そういう時に考えて、やっぱりこれじゃかなわんなと。
うちでは、
大手さんはA、
地元の中堅どころがB、
その下がC・Dっていう
四段階のグループ分けをしていて。
そこで一番大事にしたのはCとDなんです。
数十万、数百万ぐらいの仕事が、一回お客さんになってもらったらリピートでずっともらえるから。
昔はAにも営業してたけど、
今は機材屋さん、電機屋さんといった「材料屋さん」がAの仕事を取ってきてくれるんですね。」
津田:「じゃあ自社に営業置かれてないんですか?」
細土:「いや、いますよ。その材料屋さんとの接触になってる。」

津田:「なるほど。うちもちょっと似てるんですよ。
うちは試作開発ってところにいて、
親父が技術者で営業なんかせんし、規模も小さくて。
来た仕事を、とにかく難しい仕事をやると。
それでやってきたので、王道の量産っていうところはもうできないじゃないですか。
量を作る会社の方がどんどん大きくなっていって、売上が上がって、利益も出る。
そういった会社を、私が継いでね。
それだけじゃいけないと、ちょっと規模を大きくしたり、
特殊なレース部品や航空機の部品なんかもいれたりしたんですけど、
『開発』っていうところの業界が、試作レスになってきたんです。
今はコンピューターに過去のデータもほとんど入ってますから、
CADで絵を描いて、コンピューターの中で動かしてみる。
衝突試験とかも、そっちのほうが正確なくらいなんですよ。
自動車に関してはもう、新素材は出てきてますけど、もうやり尽くしたというか。
うちは自動車の技術を違うところへ展開しているところで。
この何年間かそれをアピールして、これからちょっと盛り上げていこうね、というような段階なんですよ。
本当はね、お尻のほうが今までのところは良かったかもしれない。」
細土:「周りはね、全部お尻にいっとるんですよ。」
津田:「うちももしそうやったら人数も増えて、
表向き良さそうに見えるかもしれないんですけど。
『コアのところで戦おう』とずっとやってきとったんで、
他との差別化が難しくなるなと思っていて。
もちろんそこを中心にですが、これから間口を広げていこうと。
特に輸送機器にずっとこだわってますが、
車とかバイクとかモーターボートとか、
動くものの世界って、すごい厳しいんですよね。
そこでトップクラスに行こうというのを目標にしていたので。
自動車部品の試作開発の加工では、広島では一番だと思っています。
うちしか多分できないと思う。
だけども、ビジネスって考えたときにそれじゃやっぱり成り立たんから、一番になっているわけで。
ライバルがいっぱいおる中で上がってくるんだといいけど、
みんないなくなっちゃって…全国的にはいますけどね。
船だったりそれから半導体だったり、2、3年前からちょっとずつ広げていって、
やっと最近、そういったので声がかかりだしました。」
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