「うちはこんなのあるけど絶対参加だよ」『60分』第4回 株式会社 広島メタルワーク〜後編〜


前編からの続きになります。

まだお読みになってない方は、
実例!若い世代の雇用&DX『60分』第4回 株式会社 広島メタルワーク〜前編〜
ぜひこちらから先にご覧ください!



「リクルートで仕事の話をするな」と言った

津田:「前田社長のところは技術もあるし、方向性も示して会社がどんどん大きくなってるところで。
やっぱりその原点は、若い人が集まってくるというところにあるんじゃないかなと思っていて。」


前田:「いろいろ変えてはきました。
今まではパートもフルタイムで8時から5時まで来れる人、って考えてたけど、
最近は昼で帰る人も、朝9時にしか来れませんっていう人もいますし、それも受け入れてます。
そうすると調和が取れんのは十分わかってるんですけど、それでももうそうしないと無理。」


津田:「正社員の勤務時間は以前から変えてないんですか?」


前田:「一緒です。 8時から。
今はまだですけど、数年以内に週休二日制していくと思います。
会社がちょっと大きくなって増えたミーティングや会議を、月一回くらいで土曜日にしてもらってるけど、
それも無くなるでしょうね。」


津田:「うちは月1回3S活動日を土曜日に設けてて、その日を有給消化日にもあててます。
でも忙しい時はみんなもちろん出てくる。」


前田:「働き方はどんどん変化してくるでしょうね。
でもね、会社に定着する理由って働き方じゃないですよ、きっと。
例えば忘年会とかの企画を、社員さんたちが自らできるか、みたいなところはあるような気がする。」


津田:「それはどうやってるんですか?
うちもそうしたいと思って「企画して」とか言うんですけど、誰もしない。」


前田:「1から10までを全部はできないんですよ。
でも、こういうことしてよって、課題をあげるとすごいやる。
そうやって出てきた企画を毎年アレンジしてもらうんですけど、
都度「こんなの楽しいんじゃない?」とか、何か助言はする。
ただ、その課題は簡単じゃないようにしちゃう。」


津田:「というと?」


前田:「数分間のイメージビデオ作ってほしい、ドラマ仕立てがいいな。とか。
そしたら仕事早く終わってそれせんといけんってなる。
課題を与えずにほっといたら、正直面白いもんはでてこない。
実行役はほとんどが若い人になるから、もう思考を変えて、
面接の時に「うちはこんなのあるけど絶対参加だよ」って言うんですよ。それでも良ければ来てくださいって。
これからはもっと言おうと思ってます。
強制的じゃないかもしれないけど、一応半強制だから、嫌ならうち来んほうがいいって。」


津田:「何かやるって言ったら、参加したくないっていう人は一定数いるんですよ。
でもそういう人こそ、来たら盛り上がって喜んでくれたりしますよね。」


前田:「最近ね、思ったんだけど。
若い子はプライベートと仕事を必ず分離しますよって、世の中に擦り込まれすぎちゃってる。
会社の飲み会は絶対御法度ですよって言われ続けてきたから、あ、そうなんだ、って信じすぎちゃって。

実を言うとうちの若い子は、飲み会やらないんですか?って言ってくる。
だからよく考えたら、それを嫌がる子って実は半分もおらんのじゃないかなと思って。」


津田:「前田社長が面接の時に言ってるからじゃなく?」


前田:「一応はね。でもね、飲みニケーションする会社があるんだけど、新卒者の子たちはそれを知ってて。
その会社に行きたいって言うんですよ。そういう会社に行きたいって。
あ、それがしたい子もおるんじゃんと思って。
そういう目で見ると、情報にあんまり囚われずに、自分たちの形はこうなんだってしなきゃなと。」


津田:「なるほど。
メタルワークっていう会社はこうなんだ、それに共感もしくは賛同する人、集まれみたいな感じね。
仕事もあり、コミュニケーションもあり、いろいろ課題があって、それを解決しながら会社を盛り上げていくみたいな。
仕事だけじゃないんよね。メタルワーク=板金じゃない。」


前田:「そうそう。
うちの今年のリクルート活動では、新卒者からの反応はなかったけどやったんですよ。
その説明会で仕事の話は一切するなと。
うちでこんな技術があって、こんなことができて、未来はこうなんですよ、とか絶対言うな、
飲み会の話しかするなと。
趣向変えて、仕事の話をほんの少ししたら、後は全部遊びの話をする。
もしどうしても、もっと仕事内容が知りたいってことなら、また会社来てくださいってと言おうと。
そんなふうに、入り口の形をちょっと変えてみるかという話をしました。」




見せるべき、経営者の先の姿

津田:「そろそろ最後になりますけど。
これは皆さんに聞いてるんですけど。 我々中小企業の経営者って何が一番必要ですかね?
例えばカリスマ性、判断力、先見の明とか。」


前田:「経営するにあたっては確かにカリスマ性というか、そういうのはいるのかなと思うんですけど、
日本の経営者に要るのは所得。そしてそれを周りの人たちが認めること。
日本ぐらいでしょ、こんな所得で社長やってるの。
日本の国民が社長がたくさん所得取るのを認めてないんですよ。でも、どっかまでは認めてる。
節約するんで、俺は会社の車全部引き払って軽トラック乗ってくるわって言うと認められるけど、
ベンツ乗ってきますって言うと、そこまではいらんでしょって言われる。
じゃあどこまでが認められてるの?ってなる。


別に今の自分の所得を上げてくれっていうのんじゃない。それはどうでもいいんですよ。
ただ、経営者の姿が綺麗じゃないと、目指す人がおらん。
苦労した先に何があるんですか?って思うじゃん。」


津田:「社長のようにはなりたくないと思ってしまうよね。」


前田:「トラックが良しとされた時代じゃなくなってるっていうのを、認めていかないといけないんじゃないかなっていうのは、ちょっと思う。日本の未来に対してですよ。
中小企業の社長がきちんと決算書を社員に見せれるようになることが前提。
それが見せれんような所得の取り方しかできんっていうことが問題だと思うんですよ。」


津田:「まずはちゃんと大きく黒字化をした上で、社長とは確固たるもんだみたいなのを見せて、
自分たちも来たいなら来なさい、みたいな感じね。」


前田:「公には非常に言いにくいですよ。
でもどこかで誰かが言わないと、日本の中小企業は必ずなくなる。
今後はそう言っていくことで、若い社員、次世代の社員の人たちっていうのが次に向かう。」


津田:「例えばITとかサービス業とかはある程度そうなってるじゃないですか。
社長はそんな感じで立派なビジネスに移って、高給取ってって。
でも製造業って遅れとるよね。」


前田:「製造業の社長が作業服着んでどうするの、みたいなところが未だにあるんだけど、
銀行行って「作業服着てすごい仕事してるんですよね」って言う時代ではもうないような気がしてて。
若い子たちはそれを見てかっこいいと思うかっていうと、思わないですよ。
今までの「親方を育てる」っていうのではなくて、
「経営者として、経営がどんなものか」って教える時代に変わったんじゃないかな。」







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