「経営者って何するん?」「バランスかのう」『60分』第5回 吉岡機工 株式会社 〜前編〜

中小企業のリアルな『60分』

『60分』


弊社 代表取締役 津田義明が、

経営者や今話題の方に
60分間の限られた時間の中で
インタビューにお答えいただきます。


第5回目は
前回のブログ業務提携のお知らせで掲載したように
弊社と業務提携させていただいた、
吉岡機工 株式会社 代表取締役 社長 吉岡 伸浩(よしおか のぶひろ)さん
との60分、前編をお届けします!

経営理念とバランスと

津田:「吉岡さんの方が大きな会社なのでおこがましい話ですが、
私が吉岡機工さんと一緒にやらせていただきたいと思ったのは、社長の理念が響いたからなんです。
改めて、経営理念を聞かせていただけますか。」


吉岡:「大きく3つあるんですけど、
1つ目が、地域密着の専門商社として、主に外交・販売を通じてものづくりの技術革新の支えとなったり、
助けになるような仕事をやっていきたい。
そういう付加価値を提供していきたいというのが一番最初にあります。
その付加価値が、ちゃんと経済的な形として還元できるようにと。

2つ目が、それをもって従業員の財務、会社の収益、同業たちと比べて優れているものにしたい。

その経済的に恵まれた暁には人として成長していきましょうね、という3つを
ぐるぐる回していきたいなというふうには考えています。」



津田:「中小企業はどこも、それに近いところは考えると思うんですが、
さっき仰った3つの順番が違ったり、一人がそう思ってるだけで社員さんにつながっていなかったりで、
うまくいかないんですよね。

例えば今利益がトントンだとして、
1年後にそれが50%上がったら社員さんに還元するのか、倍にならないと還元できないのか、
ちょっとでも上がったらその分を還元するのかによってやり方が違う。
どうしても高いところを望んじゃうんで、
自分にとって、てっぺんじゃなくてまだまだ中間ぐらいの目標だと思ってても、
社員さんたちは「そんなに高い目標を掲げてまた無茶を言ってる」って思っちゃう。

それらのギャップがひどくて、っていうの、
創業が浅い企業さんが多いんじゃないかなと思うんです。
吉岡社長は2代目で、かなり長い会社ですよね。
私も2代目なんですが、親父を見ていたからか、社員目線が強いというか。
1代目にはなくて2代目にあるものっていくらかあって、
バランス感覚もその一つなんかなと。
吉岡社長はそういったバランスも理念に取り入れられてるんでは。」


吉岡:「私が会社に戻ってきたのは2009年で、その頃に、
うちの父、現会長に「経営者って何するん?」って聞いたら、
「バランスかのう」みたいなことを言われたんですよ。
よう分からんことを言うなと笑
バランスと言えばバランスだけど、体験していない人には分からんよな、と思ってたんですよね。

経営者になってから6期7期経って、
確かにバランスとしか言えないかもしれない、他に表現する方法がないな、というのは今まさに感じてますね。」

津田:「実は私は理系の人間で、ゼロかイチかの人間なんですよ。
若い頃は黒か白かっていう性格で、仕事に対してもそう、お客さんに対してもそう、社員に対してもそうでした。
まだうちの親父が社長をやっていた頃、私は本当にトゲトゲしかったんです。
親父は柔らかい人間でしたが、その代わり、納期守らないとかいうこともありました笑
そういったことも、ゼロかイチかだけでは物は進まんということも、
どちらも経験しつつ勉強して、バランス感覚を身につけていったという感じなんですけど。

若い頃はとにかく一生懸命頑張れば、経済的に豊かになるし、社員さんも豊かになると思ってたけど、
どんだけ一生懸命やっても報われんこともありますしね。」


吉岡:「僕が後を継いで社長になったのは2018年なんですけど、
本気でやりだしたのも、理念というのを言葉にしようというのをやりだしたのも、その時からかな。

前職は広告代理店で働いてたんですが、理念を言われても、社長がなんか言ってるな、みたいに思ってました。
サラリーマンの気持ちってそうなので、言葉にして見える化した方がいいよねと。
じゃあ、会社として見える化できるものってなんだろうとか、
財務だったりPSもPLもいいバランスってなんだろうとか考えてきて、
毎年スキルアップしてる感覚はあるんですよ。

理念は基本的に一緒ですけど、
目標は、数年前の設定の仕方ってこうだったけど、今はそれじゃ多分良くないんだ、って少しづつアップデートしてて。
今達成するハードルっていうのはこの高さで、去年までの高さとは変わることってあるよね、っていうのは、
理解してもらわないといけないなと。」

「良かったときちゃんともらえてたんで、私たちは全然構いません」

吉岡:「うちは8月決算なんで、2月に半期が終わったんです。
評価は3月、4月でやって、フィードバックはこの前だったんですけど、ちょっと嬉しかったコメントがあって。
今自動車業界ってどこも非常に厳しい状態なので、こういう状態でこういうフィードバックします、
という前提があったんですけど、結構長く勤めてくれてる人が、
「今は悪いのはわかってるので、賞与がそれなりだったり、なかったりも仕方ないと思います。
でも良かったときちゃんともらえてたんで、私たちは全然構いません。」と。
構いません。って、ほんとは欲しいですよね。
なのに、いいときもあれば悪いときもある、いいときにはちゃんと賞与があるから、って理解してもらえてるのは、
今まで積み上げてきたやり方と、実績があるからそう思ってもらえるって話なんで、
やってきたことと言ってることが、ある程度一致できてきたのかなって思いました。」


津田:「吉岡社長に感じるのは、誠実さなんですよ。
もちろん、いい社員さんを持たれてるっていうのは感じるんですけど、信頼関係を結ばれてますよね。
でも、いい社員さんも経営者が悪かったら良くならない。
この間弟さんの常務ともお会いしましたけど、やっぱり誠実そのものに感じました。
もしね、自分だけずるしようとか儲けちゃろうとか思っても、続かんですよ。ボロが出るんです、絶対。」


吉岡:「一気にジャンプして伸びるなんて難しくできないので、毎日ちょっとづつ積み重ねて誠実にやるしかない。
経営者やマネジメントする人って、やっぱりそういう振る舞いができないといけないですよね。」


『60分』第5回 吉岡機工 株式会社 〜後編〜へ続く



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