いかに地元でやって、その価値を伝えることができるか 対談『60分』第5回 吉岡機工 株式会社 〜後編〜

対談『60分』第5回 吉岡機工 株式会社 〜後編〜

前編からの続きになります。

吉岡社長が業務提携を決めた理由は…?


まだお読みになってない方は、
「経営者って何するん?」「バランスかのう」『60分』第5回 吉岡機工 株式会社 〜前編〜
ぜひこちらから先にご覧ください!


自分たちの場所を間違えちゃいけない

津田:「皆さんにお聞きしているんですけど、吉岡社長は中小企業にとって必要なのはどんなことだと思いますか?」


吉岡:「いくつかいろんな視点があってしかるべきだし、今日と半年後だとまた別の話をするかと思うんですけど。
今思うのは、自分たちの立つべき位置をしっかりと理解することだと。
自分たちの置かれている環境って当たり前になってるとこがあるけど、
恵まれているのか厳しい状態なのか、ここにいる自分たちの価値、これを正しく理解することじゃないかなと。

うちは広島市の同業者さんの中では比較的大きな会社になってきたけど、勘違いしちゃいけないよねと。
今のお客さんの中で集中して仕事をやってるから、自分たちの存在価値がある。
お客様は自動車の仕事ですけど、これからも同じように金属加工をバンバンするかというと、変わっていく可能性はもちろんあります。
となると、必要になるものも変わっていくことはあるので、強みだけでなく、自分たちができることも変えていかなきゃいけないし、増やしていかなきゃいけないけど、自分たちの場所を間違えちゃいけない。


あと、中小企業だろうが大企業だろうが、今の時代、先に人に対しての投資を一定するのはやらなきゃいけないとすごく感じてますね、最近。」

社内での取り組みとやり方


津田:「現在取り組んでいることがあれば教えてもらいたいのと、またその目的とプロセスもお話くだされば。」


吉岡:「今取り組もうとしている、取り組んでいくことのベースとして、
まず今いる人たちの生産性を最大限にすること。それがすごくやりたいことです。

人材の採用が難しいと言われている中、今の人数での生産性を上げていかなきゃいけないというコンセプトがベースになっていて、デジタルを中心といった仕事の仕方の効率化、商社にありがちな属人化してる仕事の見える化というのは、積極的に今のうちにやっておきたい。
もう一つは、理念の再教育です。
毎月1回の勉強会は、数字としての成果を生み出すのを目的としているわけではないので、行動の変化の目標というのを設定しますが、数字は置いてないです。

デジタルに関して、現状は多くの仕事がExcelとOutlookで完結してますが、
Excelって何でもできるだけに一人一人の独自性が出ちゃって、AさんとBさんとではフォーマットがちょっと違って分かりづらいことがあるんで…
共有できるような仕組みを作っていきたいと考えています。」


津田:「うちもシステムを入れる前にかなり検討しました。
どうしても社内で一人は、そういったのに詳しい人が要ります。
もし外部の人に頼むのであれば、まず今のアナログ状態を全部知ってもらって、こういう状態なんだけど、こうしたいっていう最後のゴールをちゃんと伝えないと何も変えられない。
たいていみんな、使いづらいから、今まで自分たちのやり方がこうだったから、元のでやらせてくれって言ってくる。
やりやすいようにやっちゃいけないです。仕事の仕方を変えてでも、決めたシステムに乗っからなきゃ。
結果、その方が早いし、統一できます。
あとは、整理整頓。データも情報も、まずいらないものを捨てないと。
でもいきなり情報の整理って難しいので、段階を踏んで物の整理からやっていきますね。」

吉岡:「津田さんはいろいろしようとして失敗もあるって仰ってましたが、
まずインプットしないと「しよう」っていうのも出てこないと思うんですけど、学ぶ機会っていうのをどんなふうに作られてますか。」



津田:「私はどちらかというと、お客さんから情報をもらうっていうのがベースなんです。
最新の情報を会社に持って帰る。
それを社員にやってよと言ったら大反発になるんだけど、インプットはされてるんですよ。
そういうことが動いているのかな、くらいには。
でもお母さんのように言い続けてると、1年後には出来てたりするんです。
社員は自分たちが考えてやったと思ってる。それでいいんですよ。

世の中でこういうことが動いてるって、現場は知らないから今が全てじゃないですか。
だから新鮮でいい情報を渡してあげないと。」

新しく生まれていくものを広島の中でつくっていく

津田:「なぜ、津田製作所と業務提携しようと思われたんでしょう。」


吉岡:「広島は人口の流出が多いと言われてますが、広島がもっと元気になっていってほしいなと。
そのために、実際に地元にちゃんとお金を落としていくのは、絶対必要だと思うんですよね。
我々もどうにか安いところでとか、県外で仕事をお願いしたりとかしてたこともあるんですけど、
いかに地元でやって、その価値を伝えることができるかっていうことをしていかないと、どっちが安いって仕事にしかならない。
地域密着商社のあり方としては、そうでない役割を果たしていくことが必要なんじゃないかなと。

大手の日本全国でやってますみたいな会社さんの資本力とか投資力には、絶対敵わないんです。
調達力もそれなりに大きいところが多いですし、それと同じ土俵で戦っちゃいけないっていうのは以前から思ってたんです。

そんな中、津田さんのところへお邪魔させていただいて、うちらよりよっぽど進んでるな、学びたいなって。
地元で一緒にやっていけるというモチベーションを、社長とお話ししてすごく感じられました。
実際それがどのような形になっていくかというのは、やりながらでないと分からないんですけど。


すべてのお客様が、今までと同じことと新しくやっていくこと、両方あると思うんで、
できることであれば、新しく生まれていくものを広島の中でつくっていくというのを、一緒にやっていけたら嬉しいなと。
これが一番望んでいるところですね。
もしくは、今お客さんが県外に出している仕事を、広島でもできますよ、っていう仕組みをつくる。
何だかんだと物流が良くなったとはいえ、やっぱり地元に勝るものないでしょう。
「外注の方が安いけど、地元で作れた方が確かにいいわ」ということってあって、
それをいかに伝えていくことができるか、いかにやろうと思ってもらえるような情報提供をしていけるか。
これを意識していかないと。


津田社長が、「楽な仕事を選んじゃうと本当の力が使えなくなるんです、そうならないためにも、チャレンジしていかなきゃいけない。」と仰ってたので、私としては恵まれて出会えたということなんじゃないかなというふうに思っています。」


津田:「ありがとうございます。うちも目先のことは分かるし、できるんですよ。
でも遠くまで見えないときに、今やっていいことかどうか。
吉岡さんとだったら遠くが見えるんじゃないかなと。」


吉岡:「最近社内で言ってるんですけど、自分たちのことを「何とか屋」って言うのはやめようよって。
我々も八百屋に行って魚くれとは言わんでしょ、自分たちを工具屋って言っちゃっていると、工具の話しかお客さんから来なくなるから、『ものづくりの課題を解決できる総合専門商社』としなきゃいけないなと。」


津田:「いいですね。
新しいことをどんどん先にやってきて、傷だらけになりながら走っていきたいです。これからよろしくお願いします。」








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