約2,700店の中のオリジナリティ『60分』第7回 武蔵と三平〜後編〜

第7回目
武蔵と三平 代表 川本 潤(かわもと じゅん)さん
との60分の対談の後編です。

前編はこちらからご覧ください。
継いだ家業と挑戦魂『60分』第7回 武蔵と三平〜前編〜



ふたごの卵とオーダーメイド

津田:「焼くと黄身が潰れて分からなくなるのに、
なぜふたごの卵を使われてるんだろうかと思ってました。
お好み焼き全体をきれいに覆ってるので、
これなら最初から最後までずっと、卵と一緒に食べられますね。」

川本:「そうですね。
ふたごの卵、二黄卵っていうんですけど、普通の卵よりも大きくて、食感もふわふわしてるんです。
それに、僕の性格上、見た目も美しいお好み焼きを食べていただくて。
焼く時も、焼きカスをできるだけ出さないように気をつけてるんですよ。

昔は麺も先代が自分で作ってたくらい、うちはこだわりの強い店で。
広島市のお好み焼き屋は約2,700店舗あるので、
その中で独自性やオリジナリティを出すため、食材へのこだわり、 焼きへのこだわりは欠かせない。
ふたごの卵を使ったり、広島で一番細いと言われる麺を使ったりしてるのも、全部そのためですね。」


津田:「焼きへのこだわりとは?」

川本:「お好み焼きとラーメンって、『1日のうちでも同じ味にならない』ってよく言われるんです。
ラーメンだと、できたてのスープと閉店直前のスープとでは、どうしても味や濃さが変わってきますよね。
お好み焼きも一緒で、その日のキャベツの水分量はもちろん、
気候や気温によっても焼き方を変えなきゃいけない。
当然、お持ち帰りと冷凍とでは焼き方も変えてます。

ある意味、お好み焼きはオーダーメイドに近いです。
もちろんお客さんから注文してもらったメニューなんですけど、
その時その時でベストな"値"のものを提供するので、
その時焼いたそのお好み焼きは、その一枚しかありませんよね。

このバランスが毎日変わるのが当たり前の中、お客様に「何か味が変わったね…」と言われないように、
毎回考えながら1枚1枚丁寧に手焼きにこだわっています。」

津田:「断面もすごく綺麗ですね。」

川本:「そう、断面が綺麗なのも魅力の一つです。
「あきたかた焼き」と「ノーマル」では具材がかなり変わるから、断面も全然違うでしょ。

うちはソースも当店のオリジナルブレンドソースを使ってますし、
実はマヨネーズも普通のじゃないんです。
さっぱり食べれるように少し酸味があるもので、しかも炙っても溶けにくいものを使用してます。」



お好み焼きの文化

津田:「川本さんは、家業がお好み焼き屋さんなので、
他のお店にお好み焼きを食べに行くことはなかったんでは?」

川本「いえ、昔は新しい店ができるたびに、「研究に行こう」って家族で行ってました。
「よし、うちの勝ちだなって」言ったりして笑」


津田:「子供の頃は、近所の食べ慣れたお好み焼きの店が、Myお好み焼き屋でした。」


川本:「みんなそれぞれ持ってますよね。それでお好み焼きという文化が広まったんですよね。
広島の人はお好み焼きの具材はあんまり冒険されなくて、基本のそば肉玉が人気だけど、
店によって焼き方もこだわりも食感違う。
年間50枚、100枚食べられる方っていうのは、
うちみたいなさっぱり・しっとり系、他店のパリパリとかがっつりとか、
3、4店舗くらいのお気に入りのお店をぐるぐるまわっていらっしゃいますね。」




物を扱うというよりも人と関わる

津田:「商売や人生で、大切にしていることはなんですか?」

川本:「今になってこそですけど、改めて人との繋がりというのをすごく感じてます。
商売って、物を扱うというより人と関わるところが大きいですよね。
ひょんなところからいい話をいただいたり、その逆もしかりなので、
友人関係でもどうしても商売のフィルターがかかってしまう。
商売っけを出さないようにするって難しいなと。

事業者と事業者は当たり前のように繋がりますけど、
そうじゃないところをいかに大事にしていくかというのが最近のテーマですね。
「どうせそれも、店に来てっていう営業じゃろ」って言われがちなんですよ。」


津田:「2号店の出店や、事業の拡大は考えてらっしゃいますか。」


川本:「今のとこはまだですけど、何かできたらとも思います。
でも、今それをする時期なのか、それともしっかり基盤を拡張していく時なのかを見定めながら。」


津田:「5、6人で焼けるような大きな店を作りたいみたいな野心というか、理想だったり願望だったりは。」


川本:「考えてなくはないんですが、もしそれをするとすると、コンセプトから外れる部分もどうしても出てきちゃうんです。
手焼き、しかもワンオペレーションならではの焼きっていうコンセプトなんで。
同じ材料、同じ手順で焼いても、焼き手が変わると全然味が違います。
その日のキャベツによって今日はこういうふうに切ろうって変えるし、
切りながら様子を見て変えたりもします。

僕、とことんまでこだわる性格があるので…
バドミントンショップをしてるときもそうでした。
ラケットに貼るガットがあるじゃないですか。
ガットの一本一本にメーカーの刻印があるんですが、
それがどこかでねじれとったりするのが、僕すごく嫌い笑
全部同じ方を向いてないと、飛び方や弾き、打球音も全て変わります。


お好み焼きも、焼きカスを出さないっていうだけじゃなく、
見た目の美しさや焼き方にかなりこだわりを持ってます。」


津田:「こだわりの人ですね。そういう人にお客さんも人もつきますよね。
私もここが、 myお好み焼き屋の一つですもん。」



武蔵と三平 082-276-2001
広島県広島市西区井口明神1丁目6−12
https://jadouyaki.stores.jp/

冷凍うまいもの倉庫【情熱のお好み焼き 武蔵と三平】
https://www.reitou-umaimono.com/












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