トップじゃなくて中堅どころがやらにゃいけんもの『60分』第6回 西研 株式会社〜前編〜

tsuda×代表対談『60分』
弊社 代表取締役 津田義明が、
経営者や今話題の方に
60分間をリミットに、広島の会社代表から社内のことや考え方を率直にお聞きした、リアルな対談です。
第6回目は
西研 株式会社 代表取締役社長 寺本 博(てらもと ひろし)さん
との60分、前編をお届けします。

循環する仕事、ブラックにはしたくない
津田:「西研さんは工具研磨の会社ですが、
元々あった事業を、何らかの形で引き継いで設立されたんですか?」
寺本:「いや、それは全然違くて。
僕は大学卒業後、仕事を転々としよったんだけど、
7番目に就職した会社にいた人と、共同で創業した。
それまでカメラ屋で働いたり、食品会社や事務機器の営業をしたりしたけど、
お客さんと仲良くなって商品を入れてもらっても、
いっぺん入れたら次の仕事にならんじゃない、って思っとった。
せっかく仲良しになったんなら、また「次のものを」と循環するような仕事がしたいなと。
再研磨はちょっとそれに近いものがあって、
摩耗した刃物をきれいに研ぎなおして、お客さんに戻して、
また摩耗したら研いでという感じで、やりとりができる。
それがええなと。」
津田:「それで2人で1から始めたんですか?ゼロから?」
寺本:「ゼロから。何もなかった。
工場もなければ機械もないから、家賃10万円12坪のところで、中古の汎用機2台借りて始めた。」
津田:「研磨の技術はあったんですか?」
寺本:「あったと言っても、前おった会社で3年ほど習ったくらい笑
その会社にずっとおってもいいことにならんわ、と思っとったから、
自分の会社つくって、食っていければいいかなという感じで。
でも研磨の技術は劣っとるから、お客さんになんやかんや指摘してもらいながら、ちょっとずつちょっとずつ進歩してきた。
このまま2人で食っていけるくらいに続けていければ良いな、と思いよったんですけど、
だんだん忙しくなって2人では厳しくなったから、人を入れた。
でも、ブラックみたいな会社にはしたくないなと。」
津田:「鉄工所ってその当時ブラックでしたもんね。」
寺本:「超ブラックだったよね。20時ぐらいに終わって帰る時、「早いな、今日は」って言うくらい。」
津田:「私は2005年ぐらいに西研さんに出会ったんですよね。
当時社内で刃物の研磨をしてくれてたうちの会長が引退して、
「これから研磨どうしようかね」と思っとったところで、出会ったんです。
結構面倒な仕事でも、なんでもやってくれる笑
ノーと言わない会社で、本当にすごく助かりました。」
寺本:「うちにとっても勉強になったんよ。」
津田:「事業が軌道に乗ったのはいつぐらいになります?」
寺本:「軌道にはずっと乗っとったよ。
だって材料はそんなにいらんじゃない。
電気代もそんなにかかるわけじゃない、砥石が減るぐらいのもんで。
人件費はかかるけどね。
人を雇い始めてから経営理念を作ったんじゃけど、
明るく楽しい会社に見せたいっていう思いはあったね。」
津田:「社長自体、明るいもんね。」
寺本:「まず僕が明るくないと。じゃないとみんな明るくならんはず。」
津田:「その通りになってますよね。
西研さんの特徴って言ったら明るい。
社員さんみんなが明るいイメージを私は持ってます。」

津田:「今後御社はどこを目指していかれるんですか?」
寺本:「目指すっていうかね、ビジョンとか、"こうありたい姿"というのは、一応あるっちゃある。
ちょっと前から「メーカーになりたい」っていうのを言い始めたんだけど、
その皮切りとして、個別のお客さんに提供できるラインナップ商品、そういう自社ブランド的な考えがとりあえずあって。
まだまだ再研磨もやりながらのことなので、商品は商社に在庫してもらって、販売していく。
・・・トランプさんのあれがあってねえ、今年の目標は去年より下げんといけん。
車業界は、みんなそんな感じよ。やっぱり車だけじゃちょっとしんどいよ。
“発展的解消"っていうのがあるからいいですけどね。
僕らもたくさんお仕事を頂くけど、車絡みがどうしても多い。
でもだんだん変わってきたよ。
メーカーとその周辺で製作、特殊なものを作るとか。」
津田:「今どの会社も節約してるので、もしかしたら研磨も多くなるかもしれないですね。
うちは吉岡機工さんと業務提携したんですよ。
他県で工具を売るのは地場のメーカーに勝てないんで、新しいことをしようという事になって。
まずは困りごとを全部投げてくださいってアピールしています。何か工事が必要って言われたら手配もできますよって。
それこそ、「うち、特殊工具も手配できます」って話もできれば武器にできるので、
もしよろしければ西研さんからも提供してもらいたいです。」

3Sはリクルートに影響するか
津田:「2013年くらいに西研さんと一緒に始めた3S活動、
うちはコロナ前まではぼちぼち進めてたんですが、
それ以降は、維持はしてるけど、成長してないというか。
でも西研さんはずっと活動して、ブログにも載せてるじゃないですか。」
寺本:「今5チーム作ってやってて、
毎月の社内の発表会で、それぞれのチームの活動の成果を3分間でプレゼンしてもらってます。
4ヶ月に1回、その中から大賞を決める。」
津田:「すごいですね。3Sやブログって、お客さんにアピールになってますか?
採用の方に影響は?」
寺本:「多少はなってると思います。
採用は一番安い求人媒体に載せとるだけだけど、
とれるときは三人ぐらいとれたときもあるし。
その子たちももう一人前に3S活動の発表しよるけんね。」
津田:「それは誰がリーダーになってされてるんですか?
3S委員会以外に役割や委員会活動もあるんですか?」
寺本:「いや、3S委員会だけ。新卒者もそこに入ってもらう。
上から下へと順番に引き継いで、自然とやりよるよ。
社風になっとるけ、これが当たり前だし。」
津田:「すごいですね。発表するとなると勉強しないといけないので、力が付きますね。」
寺本:「みんなパワーポイントがめっちゃ上手になってる。
説明も以前に比べたら数段レベルが上がっとると思うんですけど。
リクルートでいうとね、
新卒は今まで13名入れとるんですけど、残っとる子が10名で、辞めた子は3名。
全体で社員が23名だから、半分近くは新卒の子になってる。離職率は低いかもしれん。
その件について、広島大学の大学院生の授業の調査に協力してくれんかという依頼があって、
無期名で社内アンケートを取ったんですけど、
ほとんどの子が要約して言うには、
会社に意見が言えるし、休みも取れるし、精神的な安定感がある、安心感があると。」
津田:「会社によって、社員さんが見てる景色って違うんですよね。
社長の考え方もみんな違うんで、それに共感、もしくは同調しているような会社が伸びていくのかな。」
寺本:「そういったアンケートは継続して取った方がいいよと、学生さんから教えていただきました。」
津田:「社員さんは3Sは楽しんでされてるんですか?」
寺本:「どうなんかは聞いてないけど…
(事務所の社員さん方に問いかけて)皆さん、ちょっとお聞きするんですけど、3Sは楽しんでやってますか?
(反応を見て)微妙?
微妙みたいですね笑」
津田:「でも勉強になるんでね。社内環境は良くなってるんですか?」
寺本:「一応改善してるから、前よりは良くなってると思う。
例えば入荷の時の手順とか、ルールを作ったり、これをここに置いたら楽になるとか便利になるとか、
今では当たり前になってるけど、前に比べたらやりやすくなってるんじゃないかなと。」
津田:「3S活動の時間も、社員さんが決めてるんですか?」
寺本:「チームごとに何曜日のいつ集まるとか、月に4時間ぐらいでやってる。
僕が思うに、トップじゃなくて中堅どころがやらにゃいけんものとして捉えてくれたら、習慣づくような気がします。」
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