もしも、すべての寸法公差が「0」だったら

もし身近にあるモノが、
「寸法公差ゼロ(完全な理想寸法)」
で作られていたらどうなるんだろう。

と、ふと思い浮かびました。。

ハサミ、ノート、鉛筆、身近な文房具で「もし公差がゼロだったら」と想定してみると、
なかなか面白いことが見えてきました。

※当社は文房具の製作はしていないので、文房具の構造や性質は、ネットで調べた情報を元にしています。

ハサミ、切れない説

ハサミは、『2枚の刃が絶妙なバランスで重なり合うことで、切ることができる』んだそうです。
一瞬、「寸法公差ゼロ」で作ったら精度が上がってよく切れそうだなと思ったのですが、
よくよく考えると、逆でした。

刃と刃が完全に同じ形状・同じ位置関係だと、
接触しなくなるか、全面が強く当たりすぎるかのどちらかになってしまいます。
つまり、『2枚の刃が絶妙に重なり合うバランス』が存在しない状態です。

少しのねじれや押し付けがあるからこそ、切断することができるハサミは、
寸法公差ゼロでは機能しない道具だったのです。

私たちが完璧だと思うことが、そうでないどころか、道具として成り立たなくなってしまうものもある。
こういう発見をすると、ものづくりって本当に面白いなと思います。



ノート、使ったら弱すぎる説

紙のサイズも、穴の位置も、製本の位置も、全部ぴったり一致したノート。
新品の見た目の美しさは完璧です。

でも実際に使うとなると、
紙が湿気で伸び縮みする、インクで微妙に波打つ、手でめくる、
こういった原因で、使い始めてすぐにズレが出るのが当たり前です。

ですが、公差ゼロで作ったノートは、そのズレを逃がす"余裕"がないと考えられます。
めくりにくく、引っかかって破れやすい、なんとも弱いノートになってしまうでしょう。


「使われながら変化すること」を前提に設計されたノートにとって、寸法公差ゼロはむしろ弱点になってしまいます。


鉛筆、そもそも説

鉛筆も同じように考えてみました。

外形、芯の位置、すべて完全一致でつくる。
でも、そもそも木材は均一じゃないし、使って削るときには力がかかります。
芯も折れやすいし、完全な理想形状はまず維持できません。

実は鉛筆は、削りやすさ、折れにくさ、書き味のために、むしろある程度のばらつきを許容した設計で、
「ばらつきをどう扱うか」が考えられているそうです。
ノートと同じで、使われる環境や動作の中での変化を、あらかじめ織り込んで作られているんですね。


公差ゼロは必ずしも理想ではない

この三つを考えて共通していたのは、
公差ゼロ=最高品質ではない
ということでした。

動くための隙間、組み合わせるための余裕、環境の変化を吸収する余白があって、はじめて製品は機能します。

私たちは日々、「精度を上げる」ことに向き合っています。
でもその本質は、単に数値を追い込むことではなく、
「機能する精度を作ること」です。

・どこは攻めるべきか
・どこは逃がすべきか
・どの程度のばらつきを許容するか

この判断が技術で、ものづくりの核心なんだなと改めて感じました。

続・もしもシリーズ

今回の「もしも公差ゼロだったら」というテーマ。
普段当たり前に使っているモノの中にも、「意図して設けられたズレ」があることに気付くことができました。

次はもう少し踏み込んで

・もし全部が真円だったら?
・もし摩擦がゼロだったら?
・もし完全な平面しか存在しなかったら?

そんなテーマでも書いてみたいと思っています!









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