中小企業の三つの在り方 『60分』第3回 菊池税理士事務所〜前編〜

弊社 代表取締役 津田義明×経営者や今話題の方との対談企画
「60分」

60分間の限られた時間の中で
インタビューにお答えいただきます。


第2回目は
菊池税理士事務所 所長 菊池 孝太郎(きくち こうたろう)さんです。

前編は
企業の持つビジョンとは、
そして、中小企業の三つの在り方について語っていただきました。

再びビジョンを考える時代がやってきた

津田:「先生との出会いは20年前くらいですかね。」


菊池:「私の開いた経営理念のセミナーを聴きに来てくれました。」


津田:「その当時、うちでもまだまだいろんな選択肢があって、そこから選んで経営する流れだと思ってたんで、
うちの税務とか会計を見てもらいたいということで。


世界情勢でグローバル化の話がありましたから、村社会である日本の中小企業のこじんまりした取り組みじゃなくて、
海外を見ながら経営したら面白いよね、もっと日本企業が生きる道、大きくなる道があるよね、みたいなことを、
先生とすごく話した覚えがあるんですよ。」


菊池:「セミナーのタイトルが、『理念経営の勧め』だったと思うんですよ。
理念大事ですよ、理念の下にはビジョンがありますよ、ビジョンの下にミッションがありますよ、という話をしたんです。


今また、20年前と同じでビジョンをちゃんと持っていかないといけない時代にあるなと思っていて。
当時から津田さんもビジョン、理念、パッションも持ってらっしゃったけれども、
この20年の間に、いわゆるITというものが発展して、今やAI。
そうなってくるとやっぱり、経営を取り巻く環境というのが激変している。
時代が変わって、また違う、新しいビジョン、ミッションが必要になってきたなと実感するんです。
ちょうどぐるっと一周しているという感じがしますね。」


津田:「ミッションは、ステップアップというか、やるべきことが変わってくるというのは大体わかるんですけど、 
ビジョンって変わりにくいという感覚を持ってるんですけど。
先生はよく、大きなことをやろうと思ったら視点を変えんといけんという話をされるじゃないですか。
そこはビジョンにつながってるんですかね。」


菊池:「ビジョンが変わっているわけではないと思っています。
ビジョン=理念みたいな捉え方でいうと、日本の小さな企業でさえ立派な理念があって、視点が高いところにすでにビジョンがあるんです。
社会貢献性の高いビジョンを皆さん持っているし、変わらないんだけれども、 社会貢献と企業の利益がちゃんと両立してないとダメ。生き残れない。」


津田:「例えば、環境問題、エネルギー問題、確かに大変だと思うんです。
我々中小企業も考えなくてはいけないと思うんですよ。
でも、本格的にSDGsに取り組もうと思うと、本業の方がおろそかになるというか、マイナス面が出てくるというか。
ちょっと言い過ぎになるかもしれないですけれども、両立しにくい状況に常にぶち当たるんですよね。
大手は余力があって、ちゃんと市場を作ったうえで環境も整える。
アメリカの企業も、しっかり稼いで寄付をしているイメージ。

日本の中小企業はいくばくかの助けにはなるかもしれないけれども、本当に社会のためエネルギーを減らしたり、環境のためになっているのかというと、ハテナがついて回るんですよね。


先生がおっしゃられるCSVですか、それを私なりに勉強してみたんですけれども、まさにそうだよなと。 
共有価値の創造は中小でもできる。調べたら個でできるんですね。活発に動いている個が集まって、どんどん創造していく。
であれば、小規模の中小企業が寄り添って共有価値を創っていくっていうのは、ありじゃないかと。
ありというよりは、それがベストな選択なんじゃないかなというのは思うんですね。」


共有できる価値を作れるのは誰なのか

菊池:「CSV経営っていうのを考えるときに、その一番スタートになるところは僕は勉強だと思っているんで、世の中変わっちゃったので、もう一回勉強し直しましょう。
テクノロジーも違うし、環境も違うし、人間の内面も変わりましたもんね。

その勉強の中で、一番そのコアになるところは一体何なのっていう。
エコ、SDGsも何らかの団体の都合で言われてるだけであって、本当にそうなのか。

例えばEVがエコだと。じゃあその二酸化炭素の総排出量でエコの度合いを測るとしたときに、EVの車を作る時と、今まで作っているレシプロエンジン、後者の方が少ないんです。
というと、本当のエコって何?って考えたところにヒントがある。
ロータリーエンジンは厳密に言うとドイツでできたものだけれども、日本人は突き詰めてすごいものを作った。
それと同じで、本質を掴むのは日本人は得意だと思います。

問題は、本質を掴んでシェアードバリューというを作れるのは、津田さんがおっしゃったように、個人なんですよね。
日本の偉人と言われる松下幸之介さんであれ本田宗一郎さんであれ、会社は大きかったけれども、結局個人に依存しているところが多い。
ましてや中小企業なんて、社長で決まる。
もちろん有機的にちゃんと動いている企業は、社長の号令の元一致団結して、チームとして動いている企業もたくさんあるとは思いますけど、結局のところ個だなと。」


津田:「じゃあ、経営者として必要なものは、カリスマ性だったり、そういったものですかね。
経営で一番大切なのが社長、 もしくは個という話だと、なっちゃうんですかね。
もちろんビジョンも必要でしょうけど。」



中小企業の三つの在り方

菊池:「これからの中小企業の在り方として三つにまとめるとしたら、
一つ目は一番大事な、さっきあった、社長の想像力、抽象度=ビジョンの高さ=可能性。
ビジョンがある程度高いところにないと、世の中に役に立つものって、そう簡単に生まれるものでないじゃないですか。 
何か新しい仕組みや何か製品が出たときに、『これ自分も考えとったんよ』って、必ず言う人がいるんですよね。
だから自分が考えてるものは、日本で100人ぐらいは同じように考えてると思う。 それよりも上に行くぐらいでないと、シェアードバリューリーにはいかんかなと思うんですよ。


津田:「自分で作るんだぐらいの勢いで行かないといけない。」


菊池:「プロセスっていうものを考えたときに、『ああやってこうやって、ああこれできたんだね』って、分かろうとするじゃないですか。それは過去なんですよ。
僕が話してるのは、未来のことなので。『こうやってこうやったら、こんだけできるじゃん』って、 しなきゃいけない。」


津田:「やってるうちに、本当に新しいことなのかどうなのかっていうのもね、もう分かりにくくなってきますね。」


菊池:「二つ目に、新しいリーダーシップ。
リーダーシップって、なんとか引っ張る、 苦労する、人より働いて従業員が帰った後も何かして、みたいなのも一つかもしれないんですけど、
チームのリーダーシップって考えた時には、画期的に効率よく動くようにコーディネートできる力みたいなリーダーシップ。
そのために、やっぱもう一回勉強せんといかんなと。

もう経験を積んだ人ならもう一回やればわかります。
そうでなくてもやればできるし、やらないよりも全然いい。
勉強するというのは多面的に見るということだと思うんで、いわゆるクリティカルシンキングじゃないですか。 ということは今言われてる流行りのロジックにもつながるし。




三つ目は、これが鍵かなと思うのは、言葉で表すのが難しいんですけど…この人すごいなっていう、経営者のオーラのようなものとしか言いようがないです。 さっき津田さんが言ってたカリスマっていうところだと思うんですよ。」


津田:「それはねえ…自分を磨かないと。」



菊池:「そうそう。勉強して、いろんなものを見て、抽象度を上げて考えてみて、これ面白いって思ったことを実行する力。
そういう力を持った人がいる企業が今から生き残ってくる。」


対談『60分』第3回 自己実現を叶えるヒント 菊池税理士事務所〜後編〜へ続く






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